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胃がん

50代以降の日本人に多い胃がん

胃がんは胃にできた悪性腫瘍を指します。正常な胃粘膜の細胞ががん細胞に置き換わると胃がんとなり、そのきっかけは様々なものが考えられます。また、胃がんはがんが死亡原因の上位に入るほど死亡率が高い病気ですが、早くに発見して治療を開始すれば予後は良好になります。ですが、初期の胃がんはあまり症状が現れないことが多く、症状が少々進んでも自覚症状がない方もいらっしゃるため、胃カメラ検査を定期的に受けて胃がんの早期発見に繋げることが大切です。
症状の有無に関わらず、40歳以上の方は胃カメラ検査を受けて健康維持に努めましょう。

若者でも発症するスキルス胃がんとは

胃がんは胃粘膜の表面から発生しますが、胃壁の中でがんが広がっていくのがスキルス胃がんです。胃がんの約10%はスキルス胃がんとされ、大変見つけにくいがんのため、ある程度進行してから発見されることが多いのが特徴です。また、スキルス胃がんを発症した方の60%以上が他の臓器に転移しており、胃壁の中でがん細胞が素早く増殖しながら拡大していきます。近年、内視鏡検査の技術の発達により、多くの胃がんを早く見つけられるようになりましたが、スキルス胃がんは内視鏡検査でさえ早期発見するのは難しいのが現状です。
スキルス胃がんは胃粘膜の内側の表面には広がりませんが、胃壁の外側に広がる性質を持っています。進行すると胃壁から腫瘍が飛び出し、その一部が破れて腹腔の中で腫瘍がバラバラになって広がった状態を腹膜播種(ふくまくはしゅ)と言います。腹膜播種は手術で取り除けないので、抗がん剤治療や化学治療などを行い治療していきます。根治させることも難しいとされており、延命という形で治療を続けます。免疫療法や遺伝子治療法などが進歩して、今後のスキルス胃がんの治療に貢献するのではと考えられています。

胃がんの原因となりやすい人の特徴

胃がんの原因となりやすい人の特徴国内では、98%の胃がんがピロリ菌感染によるものと報告されています。ピロリ菌感染により胃粘膜の炎症が慢性化して、胃がんを発症すると言われています。
一昔前の井戸水を飲み水として使用していた時代に感染が広がったと言われ、その他に家族間での口移しなどが感染経路とされていました。同一家系内で胃がんにかかる人が複数いますが、遺伝的要素との因果関係はないとされています。近年、衛生環境も整えられた日本でピロリ菌に感染する若者は減少傾向にあるので、胃がんにかかる人はこれからも少なくなると考えられています。ただし、40歳を過ぎた3割の人にピロリ菌感染の危険はあるとされているため、自己判断で治療を受けないのは危険です。また、胃の入り口付近に発生する胃がんはこれからも増えると予測されていますので、注意が必要です。
胃がんは塩分の過剰摂取も発症の要因とされており、塩分を多く摂る風習がある東北地方などは胃がんの患者数が多くなっています。さらに、喫煙や飲酒、果物・野菜の摂取不足、ストレスなども発症するきっかけになります。

ピロリ菌感染・除去について
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胃がんに前兆はある?症状チェック

胃がんは早期の場合、目立つ症状はあまり現れません。症状に気付いた時は、がんが進んでいると考えられます。

胃がんに前兆はある?症状チェック
  • 胃痛・腹痛
  • 胸やけ
  • 腹部の不調
  • 吐き気
  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 貧血
  • 黒色便が出た
  • 吐血

がんが進むにつれ、吐血や黒色便が排便されたり、腹痛や胃もたれが頻繁に起きたりするようになります。さらに悪化すると、体重減少や貧血と言った症状が現れます。

胃がんの検査と診断

胃がんは、胃カメラ検査とX線検査(バリウム検査)によって診断できます。
胃カメラ検査は、疑わしい病変の組織を採取して生検を行い、がんなのかを調べることができます。また、胃カメラ検査の方が病気を2~5倍速く発見できるとのデータもありますので、胃カメラ検査が積極的に行われています。

胃カメラ(胃内視鏡検査)について詳しくはこちら

胃がんの治療

初期の胃がんの場合、内視鏡で摘出できます。進んだ胃がんの場合、腹腔鏡下手術や開腹手術を行い治療します。
また、抗がん剤を使用した化学療法を手術の前後に実施する場合もあります。

胃がんの生存率

胃がんは早く発見できれば根治する確率はかなり高い病気です。多くの医療施設では、胃がんを発症した人の5年の生存率が90%以上あります。ただし、進行するにつれて生存率は低下し、5年生存率も50%以下になります。肝臓やリンパ節に転移して手術でがんの摘出も困難な第IV期がんになると、5年生存率は10%以下まで低下しますので、胃がんを早期に発見して治癒させることが非常に大切です。